2025年2月20日、POTLUCK YAESUにて、能登半島の復興に向けた様々な取り組みと、それに関わる人々を紹介するイベント「のと100 MEET UP! vol.2〜能登とあなたの関わりしろ〜」を開催しました!
前半では、能登に関わる10組のゲストが、今求める「人材」と「関わり方」を発表。後半では、企業・学生・クリエイターなどの参加者71名が、自分自身が能登と関わるなら何ができるか、ゲストと一緒に語り合いました!能登への思いも議論も尽きることはなく、イベント終了後には、商談・観光・学生ボランティア・プロボノとしての事業参加など、様々な具体的なアクションも生まれました!
<のと100MEET UP! vol.2 開催概要>
イベント名称 :のと100MEET UP! vol.2~能登とあなたの関わりしろに出会う~
開催日:2025年月2月20日(木)18:00~22:00
会場:東京ミッドタウン八重洲 カンファレンス5階
主催:のと100プロジェクト実行委員会
会場協力:POTLUCK YAESU
能登との関わりしろを見つける!能登の人と繋がる!
のと100プロジェクトは、2024年11月に、能登・東京の7団体が提携して設立したプロジェクトです。能登の観光復興や創造的復興に向けて、能登の人と地域外の人を結びつけるイベントやWEBでの情報発信(https://noto100.discover-noto.com/)に取り組んでいます。
2回目のMEETUPのテーマは「能登とあなたの関わりしろに出会う」!
「能登との関わりしろを見つけること」「ピッチ登壇者とまず繋がること」をめざし、10組のピッチゲストと71名の参加者が集い、ピッチと分科会を行いました。
「震災後に能登を訪れたことがある人は?」と訪ねてみると、なんと会場の半数以上!観光・ボランティア・仕事など理由は様々ですが、自ら現地に訪れるほど、能登への思いにあふれる方々が参加してくれたことがわかりました。
開会の挨拶は、のと100プロジェクト 代表の小山基さん(能登DMC合同会社 CMO / ノトノオト代表)から──。
「能登半島は、食、温泉、祭りなど多彩な魅力を持つ地域ですが、震災と豪雨により大きな被害を受けました。今もまだ整備が行き届いてない地域も残りますが、交通・生活インフラ・旅館や飲食店が復旧しはじめ、主だったエリアでは観光客の受け入れが再開しています。また、各市町の復興プランもまとまり、いよいよ次のステップへ進もうとしています。
そんな今必要なのは「まず能登の魅力を知って、人に来てもらうこと」。私たちは、観光、移住、プロジェクト参加など、能登と能登外の人との関わりしろを増やすことで、そこに貢献したいと考えています。
また、今回のイベントの告知画像にもある「入口編」は、いま私たちが提唱している「人材の定置網モデル」をイメージしたものです。豊かな里海に囲まれた能登では、回遊する魚の習性に合わせた定置網漁を行っています。入口から奥へ奥へと招くような仕組みや仕掛けづくりは、人が都会から地域へ飛び込むときにも大切なものです。今日は、まさにその「入口編」。皆さんが、それぞれの形で能登に飛び込んできてくれるのを楽しみにしています!」
「のととの“関わりしろ”」と出会うピッチセッション
ピッチセッションでは、企業としての復興支援、地元での中間支援、インターンシップ、観光、起業…など、参加者が様々な「関わりしろ」と出会えるよう、能登で活動する10組のゲストに、それぞれの活動事例と、今まさに求めている人材やニーズ3選を発表していただきました。
他地域から能登に関わっている人
【1】大竹 悠介 株式会社丹青社 マーケティング・サステナビリティセンター 地域創生支援室
駅や空港、商業施設や体験学習施設などの空間作りを行う丹青社の大竹さんが紹介してくれたのは、「のと古材レスキュープロジェクト」。解体が予定される家の持ち主の「柱一本でも構わないから、残せたら」という思いを受けて始まった、古材や建具を救出して内装材や家具などに再利用する活動です。活用先は、仮設住宅横のコミュニティ菜園に設置されたベンチ、地元の家具作家によるチェア、お土産の小物など様々。東京の商業施設のクリスマスツリーや、大阪のオフィスのテーブルにも活用されています。短期的支援ではなく、今後は、地域の人々の新しい生業づくり、関係人口の構築など、さらに長期的な協業をめざしています。
★大竹さんの提案する「関わりしろ」は…
①プロボノ参加(特にプロマネ人材!)
②古材を使う店舗オーナーや、活用法を考えてくれるクリエイター
③保管場所を協力してくれる倉庫
【2】合同会社焼塩エイミー 笠原 美怜(共同創業者 / CEO)&北村 優斗(共同創業者 / COO)
合同会社焼塩エイミーの笠原さん・北村さんは、震災ボランティアで珠洲のコワーキングスペース「OKNO to Bridge(奥能登ブリッジ)」を訪れ、能登の人々と出会ったのを機に、移住と創業を決意しました。ピッチでは、奥能登の宝「地元のおばあちゃん」の「知恵・元気・友達」を守り、活かす新事業「ばあちゃん事業」を発表。地域の中に口コミで確実に情報を広げてくれる「ばあちゃんネットワーク」を活用した「ばあちゃんリクルート」「ばあちゃんアド」や、美味しい宅食が届く「ばあちゃん仕送り」などのサービスを企画中です。
★笠原さん・北村さんの提案する「関わりしろ」は…
①まずは「OKNO to Bridge」へ!
②能登のばあちゃんのできること・嬉しいことを募集!
③田舎暮らしに憧れる若者ウェルカム!
【3】谷一 浩平 一般社団法人NOTORN理事 / Ishikawa Drinks in Tokyo 幹事 / 関東中島町友会理事
谷一さんは震災前から能登地方の若者コミュニティを運営し、オンライン・オフラインで能登出身の若者や学生と交流していました。震災後は、「能登ヨバレ@東京」や「Ishikawa Drinks in Tokyo」などのコミュニティ活動を行い、高校生の居場所支援にも取り組んでいます。現在、谷一さんは「能登に関わる若者を増やすには?」「地元を離れていても能登にゆかりのある若者からムーブメントを起こすには?」という問いを持ちながら活動しています。また、「人間の命には終わりがあるように、地域の命にも終わりがある。では僕たちは30年後の能登をどう向き合うか?」という問いに一緒に向き合える、20~30代の仲間と出会いたいと、この日語ってくれました。
*ヨバレとは、能登独自のもてなし文化のこと。
★谷一さんの提案する「関わりしろ」は…
①一緒に飲む!まずはゆるく繋がることから
②仲間を探しにヨバレに来る
③一緒に祭りに行く
【4】上入佐 慶太 日本航空株式会社 ソリューション営業推進部 地域活性化推進グループ 主任 / JAL社内ベンチャー W-PIT 能登復興事業ユニット 統括
2024年1月の震災後、1年のうち60回・120日間を能登で過ごした上入佐さん。平日は東京で仕事、週末は能登という生活を今も続けています。最初は、物資や炊出し用キッチンカーの輸送を個人で行うことから能登と関わり始め、その後、能登の創造的復興プランを推進するボランティアにも参加。今ではご自身の勤める日本航空株式会社の社内事業として、救援物資の搬送、被災地ボランティアの派遣、人材コーディネートなども行っています。そして今、「自分が案内した人々が、能登との関係を深め、能登と他地域を繋ぐコーディネーターになってくれている」と感じているそう。「これからも毎週末、能登にいるから案内します、お気軽に連絡を!」と会場に熱く呼びかけてくれました。
★上入佐さんの提案する「関わりしろ」は…
①まずは私に気軽に連絡を!なんでも話します!
②能登に来てください!来るだけでも応援です。できることから一緒にやりましょう
③能登を堪能してください!日本らしい美しい生活に関わってみて!
【5】大原 学 一般社団法人マツリズム代表理事 / マツリテーター
大原さんは「祭りの力で、人と街を元気にする」をテーマに活動する「マツリテーター」。能登の人々の魂とも言える「キリコ」が津波で流失したニュースを見て、自分にできることを考えました。その結果、「まずは能登の祭りを知ってもらおう。祭りに参加し、能登の未来を一緒に考える仲間を増やそう」と決意し、能登地方の祭りの現状を紹介するWEBサイトを立ち上げました。さらに、「あばれ祭り」の再開を支援するため、全国から参加者を募集。地域外の人々が能登と深く繋がるため、事前にオンライン交流会を実施したり、参加者が体験した祭りの魅力や楽しさを地元に伝える場も企画しました。震災を機に「祭りには、非日常の中で日常を取り戻す役割がある」と、地域の祭りが持つレジリエントな役割に気づいたという大原さん。現在も「祭り」を通じた創造的復興に取り組み続けています。
★大原さんの提案する「関わりしろ」は…
①能登の祭りに参加する
②能登の祭りの再興に参加する
③この活動の持続可能性を高める(財源、人、知恵)
能登に関わる人を求めている人
【6】中山 智恵子 一般社団法人 能登半島広域観光協会 能登デスク
能登半島広域観光協会には、震災後「いま観光で行ける場所はどこか?」「応援に行きたいけれど、今どんな状況か?」という問い合わせが多く寄せられました。その声に応えてできたWEBサイトが「今、行ける能登」。SNSのフォロワー数はなんと3万人超え。さらに、今利用できる交通機関もチェックできるデジタルマップも公開しています(https://platinumaps.jp/d/ishikawa)。「“まずはできる形から”というのがとても大切」と語ってくれましたのは「能登デスク」中山さん。地元の施設や事業者と深く繋がり、自分自身が見たありのままの能登や人の姿を発信し続けています。「観光のご相談やご案内はいつでも歓迎。まず観光に来て、ハッシュタグをつけて投稿していただくことからはじめてみて」と会場に呼びかけました。
★中山さんの提案する「関わりしろ」は…
①能登についてもっと知る
②能登半島広域観光協会の会員になる(年間5,000円×2口)
③能登に行く!自分の目で見た能登を広げる
【7】足袋抜 豪 一般社団法人みんなの馬 代表理事
珠洲市の足袋抜さんが紹介してくれたのは、引退競走馬の受け入れプロジェクト。華やかな競走馬の世界ですが、実は勝率で命の長さが左右され、3年で1勝できなければそこまでとなってしまいます。そこで2023年に立ち上げたのが「一般社団法人みんなの馬」です。現役から退いた競走馬を受け入れ、地域や人間との新しい関係をつくり、馬の新しいライフを支援しています。現在は1年間に1頭が月に8万円を稼げる仕組みを作り、この運営を続けています。会場では、能登の美しい自然の中で駆け、被災後のまちや地域の人々をたずねて歩く馬の生活が映し出されました。「関わりしろはたくさんある。まずはあなたのプロフィールを教えてほしい」と力強い言葉で会場に呼びかけました。
★足袋抜さんの提案する「関わりしろ」は…
①自己紹介をお願いします!あなたのケイパビリティを教えてください
②目的がなくてもOK!「みんなの馬」未来モデルとの関わりポイントを教えてください
③覚悟を決めたら、能登へレッツGO
【8】杉本 拓哉 石川県能登半島地震復旧・復興推進部創造的復興推進課現地対策室 課長補佐 / 一般社団法人能登官民連携復興センター コーディネーター
震災からの復興に向けた「石川県創造的復興プラン」の策定を担当した杉本さん。全国で過疎高齢化が進む今、「能登の未来を作ることが、世界の故郷の未来を作ることに繋がる」という覚悟でこの復興プランの策定に臨みました。それを実行に移すため、2024年に設立されたのが「一般社団法人能登官民連携復興センター」です。今最大の課題は「人材不足」と考えた杉本さんは、タイミーを活用した人材募集や、LINEヤフーと連携したプロボノ人材と地元企業とのマッチング事業を開始しました。さらに2月からは、吉川晃司さん・布袋寅泰さんのロックユニット「COMPLEX」の寄付金や休眠預金を活用した民間の復興事業への資金援助をスタートします。
★杉山さんの提案する「関わりしろ」は…
①まずはSNSのフォロー・拡散
②タイミーで、能登でバイトという支援を行う
③地域おこし協力隊として能登へGO!(4名募集中)
【9】奥田 和也 株式会社奥能登元気プロジェクト 代表取締役
「株式会社奥能登元気プロジェクト」の奥田さんが活動する南志見地区は、珠洲市と輪島市の境にあるエリア。震災時には孤立集落となり、過疎化や人口減少という課題に直面しました。人がまちで働き、活動する場や、地域外の人が訪れる目的地となるような場の必要性を感じ、震災後まもなくJA倉庫跡地を活用した「なじみ市場」をオープン。飲食店がなかった南志見地区に人が行き交う場を作りました。県外から訪れた人や事業者の拠点として活用してもらい、将来は移住のきっかけとなる場になればと考えています。さらに、県外からのバスツアーの受け入れや、地域資源を活用した高付加価値事業も推進中。地元の特産木材「能登ヒバ」を、ゲストハウスのサウナや露天風呂に使用したり、工事現場の仮設事務所に活用したりなど、様々な地域活性化事業を行っています。
★奥田さんの提案する「関わりしろ」は…
①SNSで拡散する!
②とにかく、来る!
③南志見市場の「右腕」になる!(広報・営業担当を募集中)
【10】森山 奈美 株式会社御祓川 代表取締役社長 / (一社)能登復興ネットワーク 事務局長 / 一般財団法人里山里海未来財団 専務理事
「株式会社御祓川」の森山さんは、能登の里山里海が生み出す商品を扱うオンラインストア「能登スタイルストア」について紹介。能登の商いを未来に繋ぐため立ち上げ、17年間運営してきましたが、震災で里海里山そのものが傷つき、売るものも作る人もいないというピンチに見舞われました。そこで、この1年で2つの法人を立ち上げ、能登に人と資金を集める事業を開始。「能登復興ネットワーク」では、復興に最も必要なのは「人」と考え、情報発信や地域内外の人を繋げる活動を実施しています。「里山里海未来財団」は、復興の先の未来を支えるため立ち上げたコミュニティ財団で、地元企業が里山里海を活用して稼ぎ、稼いだお金を地域に再投資する仕組みを作っています。森山さんが目指すのは、創造的復興の先の「発酵的復興」。発酵食のように、もともとの素材を分解し、再活性化させ、構造を変化させてより美味しくする、そんな復興を目指しています。
★森山さんの提案する「関わりしろ」は…
【御祓川の関わりしろ】
①まずは「能登」スタイルストアでお買い物
②能登共創ツアー「notomana」に参加
③インターンとして3ヶ月〜1年間活動
【能登復興ネットワークの関わりしろ】
①SNSやLINEでボランティア&右腕募集の情報GET
②「シン・いやさか会議」に参加(毎月開催)
③ショート動画の編集や情報発信をサポート
【里山里海未来財団の関わりしろ】
①年間サポーターになる(個人12,000円、法人36,000円)
②インターンとして3ヶ月活動
③能登の未来づくり事業に応募(2/24~研修開始)
実際に何ができる?能登とあなたの関わりしろの「入口」
第2部では、①若者との関わりしろを作る ②企業として能登に関わる ③プロボノ・右腕として関わる ④何はともあれ観光に行こう! の4つのテーマにわかれて分科会を開催しました。
10組のゲストのもとに参加者が集まり、「自分なら能登で何ができるか」「たとえばこんな協業ができる」など、具体的な関わりしろを提案。30分という短い時間でしたが、いくつも具体的なアクションが生まれました。
「能登スタイルストア」の森山さんは、東京の販売店との商談が成立。「奥能登元気プロジェクト」の奥田さんは、南志見でプロボノ活動をしたいと考える参加者とマッチング。また、学生参加者が「能登官民連携復興センター」の杉本さんや「焼塩エイミー」の笠原さん・北村さんと若者の関わりしろについて語らう姿も目立ちました。
この繋がりを今後に活かすため、「のと100オープンチャット」というLINE上のコミュニティも立ち上げ。のと100MEET UP!参加者なら誰でも登録可能で、能登の情報やイベントをシェアしあい、能登との「関わりしろ」をいつでもチェックできるようになりました。
分科会での熱い議論は尽きることなく、そのまま交流会へ。
交流会では、新鮮な能登野菜など地元食材を使った料理と地酒が振る舞われました。ミネラル豊富な能登かきや、雪の中からその日の朝に収穫したばかりの「中島菜」や「能登むすめ」(赤大根の一種)が会場を彩りました。
のと100プロジェクトでは、「いま能登でできる100のこと」をテーマにした情報発信やイベントを今後も継続し、関係人口の創出と創造的復興支援に取り組んでいきます。今後の展開にもぜひご注目ください。